ポロっとなりがちM3ナット問題対策メモ with 落ちにくいスペーサー

はじめに

今年、越前がにロボコン系である小中学生対象の「北はりま稲刈りロボットコンテスト」を開催しました。

コンテストに参加する子どもたちにはロボットの組み立てからプログラミングまで事前に講習会を開き、トライ&エラーを繰り返しながらロボット制御にチャレンジしてもらいました。
その中で子どもたちの心を折りそうになった要素がいくつかありますが、一番最初の壁がロボットの組み立て時に使用するM3ナットでした。

ロボットにはタミヤの楽しい工作シリーズの「ユニバーサルアームセット」や「ユニバーサルプレート」を使用しており、M3ネジやM3ナットはその付属品でタミヤではおなじみのものです。

この記事ではそのM3ナットのありがちな問題点と解決策をメモします。

 

問題点

問題点① つまみにくく、ネジ山にかませにくい

プレートにM3ネジを差し込み、M3ナットを締めますが、小さくてしかもツルツルしていて持ちにくいので、とっかかりのネジ山がかみ合わず、ポロっと床に落としてしまい、オロオロ探さなければならない事態が多発しました。

子どもだからとかはたぶん関係ありません。M3ナットを落としてどこ行った??という経験のある大人もたくさんいるはずです。

問題点② 手が足りない

M3ネジにM3ナットを挿入するとっかかりは、一般的なナットドライバーを使用することで基本的に解決します。

ただ、ナットドライバーを使う場合に新たに「手が足りない問題」が発生します。

ネジとナットを締めるときは、ネジ側はプラスドライバー、ナット側はナットドライバーを持つことになりますが、対象の工作物が保持できず安定して締めることができません。
もう一つ手があれば。。。

問題点③ ゆるむ

M3ナットを無事に締めた場合でもロボットを動かし続けることで徐々にゆるんできます。これはM3ナットに限らず他のナットでも同様の問題です。ばね座金などをはさむ対策もありますが、M3ナットに加え、小さな部品を追加することは避けたいところです。

 

解決策

上記3つの問題点を解決すべく、3Dプリンターを使っていくつかの治具を製作しました。

解決策① ナット保持具

一般的なナットドライバーはナットに対して垂直に持ちますが、これは平行に持ちます。

この形によって、ネジ側はプラスドライバーを持ち、ナット側はナットと工作物を保持できますので、手が2つでも大丈夫です。

回すのはあくまでプラスドライバー側で、保持具側は回しません。保持具で回すと強度的に六角形をなめる場合があるかもです。

はじめにM3ナットを保持具にセットして工作物にあて、あとはプラスドライバーを回すだけなので、手間も大きく変わらずとても作業しやすいです。

ただし、ナットのゆるみ問題にはノータッチの品です。

使っている様子を動画でどうぞ。

 

解決策② ナットケース

 

解決策①のナット保持具を製作した後にさらに考えたのがこちらのナットケースです。

即席のインサートナットのようなもので、M3ナットを袋状になったこのケースに入れてネジ側をプラスドライバーで締め、ケースも一緒に固定します。

内部はナットの形になっていますので取付時にナットと工作物を保持できるとともに、ゆるみ止め、ナットの落下を防止します。

内部は若干の遊びがありますのでゆるみを完全に防止するわけではありませんが、落下はしにくくなると思います。

このケースはタミヤのユニバーサルプレートで使用することを想定した形状にしており、ケースの片面にはプレートの穴に食い込むための突起を設けています。L字型はプレートの角で使用します。

使っている様子を動画でどうぞ。

 

まとめ

汎用的にはナット保持具、ユニバーサルプレートやユニバーサルアームを使用するときはナットケースという感じで使い分けできる2種類の治具を製作しました。

子ども向けとしてはレゴのようにドライバーを使わないはめ込みパーツを製作するのもありですが、個人的にはそこまで容易にすることは必要ないと思っています。

不慣れで失敗があってもドライバーでくるくる回す体験は今後の様々なものづくりに役立つと思いますし、できるだけ付属パーツを活かすことで無駄なく製作できます。

まだ子どもたちに使ってもらっていないので実際の効果のほどはわかりませんが、いくらかストレス緩和になればうれしく思います。

 

おまけ

上記動画を見て気が付いた人もいるかもしれません。

もうひとつ「手が足りない問題」がありまして、ロボットを組み立てるときに使用するスペーサーです。

ネジをプレートに差し込んだ後、ネジにスペーサーを挿入しますがこれがポロポロ落ちてきて作業がしにくく、これも子どもたちの心を折りそうになりました。

これを改善すべく3Dプリンターで製作したのが「落ちにくいスペーサー」です。スペーサー内部2か所にごくわずかな突起を設けて落ちにくくしています。

ナット対策と併用すると、とてもスムーズに保持でき組み立て時のストレスも緩和されます。